トップページ > 農薬でんわ相談 > 用語解説

用語解説

IPM(総合的有害生物管理)

Integrated Pest Management

あらゆる適切な防除手段を相互に矛盾しない形で使用し、経済的被害許容水準以下に有害生物の個体群を減少させ、かつ、その低いレベルに維持する管理システムをいう。総合的病害虫・雑草管理ともいう。

このページの先頭へ

アレロパシー(allelopathy)

他感作用。ある植物またはその遺体から排出される化学物質が、周辺の植物の発芽や生育に影響を及ぼす現象をいう。
この作用をもつ植物や成分を、雑草発生抑制物質として利用する研究が進められている。

このページの先頭へ

イエローカード

輸送中の事故に備えるため、化学物質などのメーカーが輸送業者に渡す、緊急時連絡先や応急措置をまとめたカード。

このページの先頭へ

ADI(許容1日摂取量)

Acceptable daily intake

人がある物質を一生涯にわたり摂取しても、現在の毒性学知見からみて、なんら障害が現れない1日当たりの最大量をいい、人間の体重1kg当たりのmg数で表す(mg/kg/日)
実験動物の最大無毒性量に安全係数をかけて算出する。

このページの先頭へ

エンドファイト

植物体内で共生している菌類や細菌で、作物に耐病害虫性、増収など機能を付与するもの。ペレニアルライグラス等のネオティフォディオムが代表的。

このページの先頭へ

SDS/MSDS(安全データシート/化学物質等安全データシート)

(Material)  Safety Data Sheet

以前はMSDSと称していたが、対象範囲が拡大され平成23年以降はSDSが用いられている。
化学物質等について、安全性や毒性に関するデータ、取り扱い方、救助措置などの情報を記載したもの。これまで企業が自主的に作成してきたが、毒物及び劇物取締法、化管法(PRTR制度)、労働安全衛生法等で、作成と販売/譲渡先等への提供が義務化または強く推奨されている。
国際的な危険有害性の分類(GHS)が用いられる。

このページの先頭へ

環境保全型農業

適切な農業生産活動を通じて国土・環境保全の観点から、農業の有する物質循環機能などを生かし生産性の向上と環境への負荷の軽減に配慮した持続的な農業(平成4年「新しい食料、農業、農村政策の方向」新農政プランにて示された)

このページの先頭へ

コーデックス委員会

Codex Alimentarius Commission
FAO/WHO合同食品規格委員会

食品規格に関する国際基準等を策定する意思決定団体。各国は、WTO協定により国内で食品に関する規格を作成する際は、特段の理由がない場合、コーデックス規格を基礎とすることになっている。

このページの先頭へ

食品のロス率

食品ロス統計調査(外食:平成27年、家庭:平成26年、農水省)によると

  • 結婚披露宴:12.2%(23.9% ※) ※:( )内は平成12年
  • 宴会:14.2% (15.7%)
  • 家庭(1世帯平均):3.7%

これら食品廃棄物の大部分は、焼却・埋立処分されている。

このページの先頭へ

GLP制度

Good Laboratory Practice

試験の適正実施に関する基準。農薬においては各種毒性試験や残留試験等が対象になっている。
毒性試験等の信頼性を確保し、農薬の安全性評価をより的確かつ厳正におこなうための制度である。その適性実施のため試験に従事する職員の教育や力量、施設、機器、操作、試験計画、記録などの管理について基準を設け、その施設は3年毎に政府機関またはこれに代わる機関により適合性の確認を受けることが必要である。

このページの先頭へ

ゼロ・エミッション

生産・消費活動における廃棄物の発生を抑制してできるかぎりゼロに近付ける循環型システムを構築するという思想。廃棄物を原材料として利用する技術・経済・社会システムをつくるという考え方で、1994年に国連大学が提唱した。産業界のみならず自治体等にもこの理念が拡大している。

このページの先頭へ

POPs(残留性有機汚染物質)

難分解性、蓄積性、長距離移動性といった特徴をもつ有害化学物質で、PCB、DDT、ダイオキシン等が代表。その製造・使用の根絶、排出の削減を進めるための取組がみられている。

このページの先頭へ

NOAEL(無毒性量=最大無有害作用量)

農薬を実験動物に毎日、長期間反復投与した際、毒性影響が発現しない最大薬量。安全性評価の基礎となる。

類似:NOEL(最大無影響量)

このページの先頭へ

マーケットバスケット

平均的な日本人の1日の食事を通じて摂取する農薬量を調査する方法。国民栄養調査結果を基に、平均的なモデル献立をつくり、それに必要な食品を購入しその中に含まれる残留農薬を検査する方法。過去の調査では、許容1日摂取量(ADI)対比1〜5%となっている。

このページの先頭へ

PRTR制度(環境汚染物質排出移動登録制度)

Pollutant Release Transfer Registers

政令で指定された環境汚染化学物質の大気、水域土壌を経由した環境への排出量および廃棄物としての移動量を算出し報告する制度。
「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)」にて制定された。

このページの先頭へ

トレーサビリティ

追跡可能性。作業内容を記録した履歴を残し追跡できるようにすること。食品をはじめ製品の生産から流通にいたる全(作業)情報を把握しておき、問題が生じたときに速やかに対応できるようにするシステムを指す。農産物の場合、農薬や肥料などの使用について「生産履歴」として記録し追跡できるようにすること。

このページの先頭へ

リスクアナリシス

危険度分析。危害の恐れがある物質について、その危険な事態と起こる程度を調査分析し、許容レベル以下にするための手法。そのために以下の3つの対応要素から成り立つ。

  • リスクアセスメント(危険度評価):科学的な証拠(データ)と合理的な仮説に基づき、危険の起こりやすさやその程度を、ある範囲の不確実さを許容しつつ、いつ、誰に、どのような危害が起こるかを推測する。
  • リスクマネジメント(リスク管理):リスク評価から得られた推測を基に、危害が起こらないように、技術的、経済的対応の可能性を考慮して、規則・制度・基準などを定め的確に管理する。
  • リスクコミュニケーション:信頼性の高い情報の提供をおこない、自主判断の際に役立てる。

このページの先頭へ

HACCP(ハサップ)

Hazard Analysis Critical Control Point

1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の手法。
これまでは、製造する環境を清潔にすれば安全な食品が製造できるであろうとの考えで、製造環境の整備や衛生管理と製品の検査をしてきた。製造する環境と製品のすべてを検査できず事故が起こっていることから、HACCPは、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程における、危害を予測し、その危害を防止するための重点管理点を設定し、そのポイントを継続的に監視・記録し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決することで不良製品の出荷を未然に防ぐシステム。
令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCAPに沿った衛生管理が義務付けられた。

このページの先頭へ

ポジティブリスト

2003年6月食品衛生法が改正になり、すべての農薬に残留基準が設定されることになった。基準値を超過する食品はもちろんのこと、基準の設定されていない農薬が残留する食品はすべて流通を禁止し、これに違反する場合は罰則が適用されることになる。この”残留してかまわない農薬のリスト”をポジティブリストという。それ以前の制度においては、基準値を超えて”残留してはならない農薬のリスト”(ネガティブリスト)として示されており、基準の設定されていない農薬が残留する食品の流通につき法的な罰則の定めは無かった。

このページの先頭へ

登録農薬

農林水産大臣の登録をうけたもの。国内で販売する農薬は、国産・輸入品を問わず登録を受けることが「農薬取締法」で定められている。 農薬容器ラベルに、「農林水産省登録第○○○○○号」と表示される。

このページの先頭へ

無登録農薬

農作物の防除用に殺虫、殺菌、殺鼠、除草のための薬剤、及び植物成長調節などを目的とする薬剤で、農林水産大臣の登録を受けていないもの。
法律の隙間をつく以下のような商品が存在する。

  • 農作物等の栽培用地以外(駐車場、空地、鉄道線路など)対象の農薬でない除草剤
  • 漢方農薬、植物生育増強剤などと称し、その効能が農薬と紛らわしいもの
  • 個人(代行)輸入、平行輸入等により海外から輸入する農薬

このページの先頭へ

登録失効農薬

過去に登録されていた農薬で製造業廃止届出や更新中止により登録が失効したもの。
失効する理由には、販売量の減少、新農薬の開発にともなう整理、企業合併による同種の農薬の整理、再評価の際に国の求める試験種類の増加に伴う負担増による経済的な理由での撤退などがある。

この情報は、独立行政法人農林水産消費安全技術センターのホームページ で公開されている。

このページの先頭へ

政令指定農薬

作物残留性農薬、土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬として政令指定されたもの。使用できる地域や対象作物などは知事が指定することになっている。

現在、これに該当する農薬で、登録があり一部で使用されているのは、水質汚濁性農薬指定の1剤(シマジン)である。

このページの先頭へ

使用禁止農薬/販売禁止農薬

法令「毒物及び劇物取締法」により使用が禁止されたもの、POPs物質や化審法の第1種特定化学物質に該当するなどして「農薬取締法法」で販売が禁止されたもの等の指定農薬が該当する(27種、内7種は農薬登録の実績なし)。尚、販売禁止されたものは使用も禁止される。

BHC、DDT、エンドリン、ディルドリン、アルドリン、クロルデン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレクス、トキサフェン

パラチオン、メチルパラチオン、TEPP、水銀剤、砒酸鉛、2,4,5-TP、CNP、PCP、PCNB、ダイホルタン、水酸化トリシクロヘキシルスズ

ケルセン、ペンタクロロベンゼン、アルファーヘキサクロロシクロヘキサン、ベーターヘキサクロロシクロヘキサン 、クロルデコン、ベンゾエビン
(2021.7.1現在)

このページの先頭へ

生物農薬

化学合成物質を成分としない農薬。病害虫や雑草を侵す病原体(細菌、糸状菌、ウイルス)、及び線虫、捕食性ダニ、寄生バチなどを利用したものなどがある。

このページの先頭へ

国際的な残留基準

FAOとWHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会という、食品基準のプログラムの意思決定団体)が策定する国際基準。各国はその基準を採用することが勧奨されている。強制力は持たないが、特段の理由が無い場合、コーデック規格を基礎とすることになっている。

このページの先頭へ

ポストハーベスト農薬

収穫後の農作物に使用される農薬。保管・輸送中の腐敗、虫害、発芽を防止するために使われる。(反対語:プレハーベスト)

日本の法律では、収穫後の農作物は「農作物」でなく「食品」としているため、農薬取締法上の「農薬」を収穫後に使用するのは、保管のための“くん蒸剤” 以外認めていない。果実などの腐敗防止(保存)を目的で使う薬剤は「食品添加物」として食品衛生法で規制される。

このページの先頭へ

残留農薬基準の設定状況

ポジティブリスト制度導入時(平成18年5月)には41農薬に残留基準が定められており、その他760農薬等には登録保留基準値、国際的な食品規格のコーデックス基準、米国環境保護庁、豪、NZ、ECの基準等科学的な評価に基づき暫定基準が設定されていた。

「暫定基準」が設定された農薬は順次内閣府食品安全委員会(食安委)に食品健康影響評価が依頼され、これまでに新農薬と合わせて491品目に残留基準が定められており、141品目は削除された。暫定基準で残っている269品目のうち208品目はすでに食安委での評価が進められている(令和2年12月現在)。

厚生労働省HP「農薬の残留基準はどのように決められている?」 より

このページの先頭へ

適用外使用

登録された農薬は、使用方法(散布、塗布、くん蒸など)や適用作物、適用病害虫名が定められている。指定された使用条件外で使用されることを適用外使用という。
農薬は適用条件内で使用された場合に限り、残留基準がクリアされ、適用外で使用された場合の安全保証はない。

このページの先頭へ

特定農薬

平成15年の農薬取締法改正で新たに設定された用語。(通称、特定防除資材)
農薬取締法第3条1項で、「原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして、農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」と定められている。これまでに指定されたものには、「重曹」、「食酢」、「使用される周辺で採集された天敵」、「エチレン」、「次亜塩素酸水(塩酸または塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるもの)の5品目がこれに当たる。
尚、順次、効果、安全性に対する評価が完了すれば、数は増えてくる見込み。

このページの先頭へ

農薬使用基準

農薬を使用する者が遵守すべき基準として農林水産省令・環境省令にて定めたもの。平成14年12月10日に改正された農薬取締法第12条にて定められた。
内容は、使用者の責務、遵守すべき事項(表示事項の遵守、使用計画書の提出など)、努力すべき義務(適用病害虫や注意事項、飛散・流出の防止、防除の記載など)を規定している。
詳細は 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成15年農林水産省・環境省令第5号)(最終改正:令和2年4月1日)(PDF 950KB) を参照下さい。

このページの先頭へ

 
でんわ相談
03-5209-2512